| 辨 |
俗に、ニオイアヤメを「いちはつ」と呼ぶことがあるが、別種。
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| アヤメ属 Iris(鳶尾 yuānwěi 屬)の植物については、アヤメ属を見よ。 |
| 訓 |
『言海』に、「いちはつ 一八〔此花ノ多種ナル中ニ逸初(イチハツ)ニ開ク意ナラムト云フ〕」と。『大言海』に、「いちはつ 鳶尾草〔倭訓栞。後編、いちはつ「鳶尾草也、最初(イチハツ)ノ義、此花ノ種類、最多シ、ソレガ中ニ、早ク花咲クモノ也」
春末ニ花ヲ開クト云ヘバ、かきつばたノ類ニシテハ、早キ方ナリ、狗猧(クワ)集、三、夏「千種アレド、先ヅ一はつノ、花野カナ」(古事類苑、鳶尾)いちはちトモ云フハ、當字(アテジ)ニ、一八ト記シテ、ソレヲ音讀シテ、云フナリ・・・〕」と。
「和名ハ此花ノ多種アル中ニテ最モ早ク花サク故最初(イチハツ)ノ義ナリト謂ハルレドモ正否不明ナリ」(『牧野日本植物図鑑』)。
一八と書くのは、末広がりの縁起を担いだ語呂合わせ。 |
『本草和名』鳶尾に、「和名古也須久佐」と。
『倭名類聚抄』鳶尾に、「和名古夜須久佐」と。
小野蘭山『本草綱目啓蒙』鳶尾に、「イチハツ ヤツハシ薩州」と。 |
漢名はその形から。烏園も、正しくは烏鳶であろう(本草綱目)。ただし、本草綱目は、この草のどこがどのように鳶に似ているのかは、記していない。
なお、鳶は タカ科の鳥トビ(トンビ) Milvus migrans。 |
| 学名の種小名 tectorum(屋根の、屋根に生える)は、日本でよく藁屋根に植えたことから。英名の Roof iris も同(下の誌を見よ)。 |
| 説 |
山西・陝甘・華東・兩湖・廣西・四川・貴州・雲南・チベット原産。日本では史前帰化植物。
日当たりと水はけのよい場所を好み、乾燥にも耐える。 |
| 誌 |
中国では、根茎(鳶尾根・鳶頭)を薬用にする。『全國中草藥匯編 上』pp.491 |
| 日本の旧俗に、シャガやイチハツは、 藁屋根に植えると大風を防ぐ(ないしは火を防ぐ)と信じられた。そのじつは、よく地下茎を張り巡らして、藁屋根の崩壊を予防することからか、という。 |
『花壇地錦抄』(1695)巻四・五「草花 夏之部」に、「一八 春末夏初。一初共いふ。花形杜若のごとく、六やうのやうニミゆる。白むらさきの二種あり」と。
『大和本草』に、「紫羅傘(イチハツ) 又鳶尾ト云・・・民家茅屋ノ棟ニイチハツヲウヘテ大風ノ防トス、風イラカヲ不レ破」と。 |