しそ (紫蘇) 

学名  Perilla frutescens var. crispa (P.crispa, P.frutescens var.acuta)
日本名  シソ
科名(日本名)  シソ科
  日本語別名  
漢名  紫蘇(シソ,zĭsū)
科名(漢名)  脣形(シンケイ,chúnxíng)科
  漢語別名  蘇(ソ,sū)
英名  Perilla
crispa   2012/10/19 小石川植物園
   「Perilla frutescens (L.) Britton」 var. crispa (Thunb.) H.Deane」 シソ」と標示 

   acuta   2007/10/08 薬用植物園
       「シソ Perilla frutescens var. acuta」と標示
 2004/09/17  新座市中野

 シソ科 Lamiaceae(脣形 chúnxíng 科)については、シソ科を見よ。
 シソ属 Perilla(紫蘇 zĭsū 屬)には、東アジアからインドにかけて、1-5種がある。
 以下、YListによる。

  レモンエゴマ P. citriodora(P.frutescens var.citriodora)
  P. frutescens
    シソ var. crispa(P.frutescens var.acuta)
      チリメンジソ(シソ、狭義) f. crispa
      アオジソ f. viridis
      カタメンジソ 'Discolor' 葉の表は緑、裏は赤
      チリメンアオジソ 'Viridi-crispa'
      アカジソ f. purpurea
      マダラジソ f. rosea 葉の表は緑、裏は赤
    エゴマ var. frutescens(P.frutescens var.japonica)
    タイワンエゴマ var. purpurascens
  トラノオジソ P. hirtella(P.frutescens var.hirtella)
本州(関東以西)・四国・九州・朝鮮産
  セトエゴマ P. setoyensis
本州(西部)・四国産
   
 中国では、Perilla frutescens を次のような変種に分ける
(以下『植物智』による)

    var. acuta(野生紫蘇・紫蘇)
華北・湖北・西南・両広・華東・臺灣に自生、或は栽培
    var. crispa(P.crispa, P.nankinensis;鷄冠紫蘇・回回蘇)
         各地で栽培 『中国本草図録』Ⅱ/080
    var. frutescens(紫蘇)
 東亜・ヒマラヤ・インドシナ・ジャワで栽培
         『中国本草図録』Ⅱ/799・800・Ⅲ/1352
   
(なお、その解説によれば、中国では古来 葉の表裏とも緑のものを白蘇(ハクソ,báisū)と呼び、
    
両面が紫 或は表紫・裏緑のものを紫蘇(シソ,zĭsū)と呼びわけてきたが、今は統一して紫蘇と呼ぶ。)
   
 小野蘭山『本草綱目啓蒙』(1806)に、「カタメン紫蘇ハ集解ニ葉下紫色ト云モノニシテ下品ナリ。面背皆紫ナルヲ トウジソ一名カウライジソ チヤウセンジソ ヲランダジソ チリメンジソ チゞミジソトモ云。葉ニ皺多ク鋸齒深。集解ニ謂ユル花紫蘇・回回蘇是ナリ。本草彙言ニハコレヲ鷄蘇と云」と。
 深江輔仁『本草和名』(ca.918)に、荏子は「和名於保衣乃美」、蘇は「和名以奴衣、一名乃良衣」、水蘇は「和名知比佐岐衣」、仮蘇は「和名乃々衣、一名以奴衣」と。
 源順『倭名類聚抄』
(ca.934)に、荏は「和名衣」と。
 小野蘭山『本草綱目啓蒙』10(1806)に、「蘇 ノラヱ
和名鈔 ヌカヱ同上」と。
 『爾雅』釋草に、「蘇(ソ,sū)、桂荏(ケイジン,guìrĕn)」と。
 『説文解字』に、「荏(ジン,rĕn)、桂荏(ケイジン,guìrĕn)、蘇(ソ,sū)。艸に从い、任の聲。如甚の切」と。
 蘇は、李時珍『本草綱目』(ca.1596)に、「蘇 sū は、穌 sū に従う。音は酥 sū。舒暢なり。蘇、性は舒暢、気を行(や)り血を和す。故に之を蘇と謂う」と。
 漢名にいう鷄冠紫蘇・繸邊皺紫蘇・回回蘇とは、右の図のようなものである。 (『全国中草薬匯編』上 p.836 より)


  特徴は葉の縁の形、それを鷄冠や繸に擬える。
  鷄冠とは、オスのニワトリのとさか。
  繸(スイ,suì)とは、一名流蘇(リュウソ,liúsū)、ある種のひも飾り・房飾り。われわれに身近なイメージで言えば、「劇場の緞帳の下辺についている、たくさんのひもをぶら下げたような房かざり」のような形をしたもの。
 
 属名 Perilla は、東インドにおけるシソの土名。
 種小名 frutescens は「低木状の」。
 変種小名 crispa は「縮れた」、葉の形から。
 ヒマラヤ・ビルマ・漢土の原産、漢土南部で栽培化されたと推定されている。
 日本・朝鮮・漢土・東南アジアで古くから栽培されてきたが、今では広く温帯に野生化している。
 「シソにはたくさんの変種があるが、それを利用しているのは照葉樹林地帯のみである。インドにはシソにわりあい近縁のツルシーと呼ばれる草(Ocimum basilidum)がヒンドゥー教と結合してひろく使われるが、シソはかえりみられない。ところが酒と同じように、ヒマラヤの中腹まで登っていくと、農家の庭先などにシソがときどき見られるようになる。それから東部ヒマラヤのアッサム山地ではシソを栽培してその種子を集め、食用にするが油はしぼらないという民族もある。シナや日本になると、シソは油料の変種もでき、また香味野菜とし愛用されて、多数の品種がつくられ、多量に栽培されている。シソの香りは照葉樹林文化の香りなのだ。」(中尾佐助『栽培植物と農耕の起源』)
 中国では、白蘇は、人里近く、路傍あるいは山の斜面などに野生し、南北各省で栽培する。
 紫蘇は、長江以南では野生し、人里近く或いは路傍などに見られる。また、広く全国各地で栽培する。
 中国では、紫蘇の、葉をつけた若い枝を紫蘇(シソ,zĭsū)と呼び、葉を紫蘇葉(シソヨウ,zĭsūyè)と呼び、茎を紫梗(シコウ,zĭgĕng)と呼び、果実を紫蘇子(シソシ,zĭsūzĭ)・蘇子・黑蘇子(コクソシ,hēisūzĭ)と呼び、それぞれ薬用にする。『中薬志』Ⅱpp.421-423・Ⅲpp.207-210
 また、白蘇の葉・若い枝・主茎(蘇梗,ソコウ,sūgĕng)・果実(白蘇子,ハクソシ,báisūzĭ・玉蘇子(ギョクソシ, yùsūzĭ)を薬用にする。
 日本では、生薬ソヨウ(蘇葉)は シソの葉及び枝先である(第十八改正日本薬局方)。
 日本薬局方の解説書によれば、本種のうちシソ(アカジソ)・チリメンジソ(すなわちアオジソ系を除く)の葉を、中国薬典で紫蘇葉、日本薬局方でソヨウ(蘇葉)と呼ぶ。そのほか、茎を蘇梗・種子を紫蘇子と呼び、薬用にする。

世にいう靑紫蘇  2005/09/13  三芳町竹間沢
2007/09/24 小平市

   世にいう赤紫蘇   2006/09/25 新座市大和田 
2016/09/10 入間市宮寺
 

跡見群芳譜 Top ↑Page Top
Copyright (C) 2006- SHIMADA Hidemasa.  All Rights reserved.
跡見群芳譜トップ ナス オクラ ブルーベリー コマツナ ソバ ナシ 農産譜index