| 辨 |
Chenopodium album は種内の変異が大きく、次のような種内分類群を区別することがある(『改訂新版 日本の野生植物』)。
シロザ Chenopodium album
シロザ var. album
アカザ var. centrorubrum
ムラサキアカザ var. purpurascens(C.purpurascens)
これに対して Kew Garden のIPNIは、C. album var. centrorubrum を C. giganteum(杖藜)のシノニムとし、C.
album var. purpurascens を S. quinoa(藜麥)のシノニムとする。また YList は、C. album var.
centrorubrum を C. giganteum(杖藜)のシノニムとし、ムラサキアカザは C.album var.purpurascens
ではなく、C. bengalense とする。
中国の『植物智』は、略々「C. album の分布は広く、形態の変異も大きいので、種の下の等級の名称が数多く発表され、相当に混乱している。世界的な分類整理が進まなければ細分は困難であり、当面は種内分類群を立てない」という。 |
アカザ属 Chenpopdium(藜 lí 屬)には、世界に100-250種がある。
[ここでは YList に従う。]
C. acuminatum
マルバアカザ var. acuminatum(var.japonicum;尖頭葉藜)
本州・四国・九州・琉球・臺灣・朝鮮・浙江・西北・華北・遼寧・吉林・黑龍江・内蒙古・シベリア産
『中国雑草原色図鑑』37
カワラアカザ var. vachelii(C.vachelii;狹葉尖頭葉藜)
本州・四国・九州・琉球・臺灣・福建・浙江・江蘇・兩廣・河北・遼寧・ウスリー産
シロザ C. album(藜・白藜・灰菜・灰條菜) 『中国雑草原色図鑑』38
ムラサキアカザ C. bengalense(C.formosanum, C.elegantissimum,
C.album subsp.amaranthicolor;臺灣藜)
ミドリアカザ(ヒメアカザ・ヤマアカザ) C. bryoniifolium(C.koraiense;菱葉藜)
北海道・本州・朝鮮・河北・遼寧・吉林・黑龍江・シベリア・極東ロシア産
絶滅危惧IA類(CR,環境省RedList2020)
コアカザ C. ficifolium;小藜・灰莧菜) 広く歐亞温帯に産
『中国本草図録』Ⅳ/1607・『中国雑草原色図鑑』41
アカザ C. giganteum(C.album var.centrorubrum, C.centrorubrum;
藜・紅心灰藋・臙脂菜・鶴頂草・杖藜)
遼寧・河南・陝甘・両湖・四川・貴州・雲南で栽培並びに野生。 高3mに達し藜杖を作る
イワアカザ C. gracilispicum(細穗藜) 本州・四国・朝鮮南部・河南・山東・華東・陝甘・両湖・四川に産
絶滅危惧IA類(CR,環境省RedList2020)
ヒメハマアカザ C. leptophyllum
ヒロハアカザ C. opulifolium
ヒロハヒメハマアカザ C. pratericola(C.leptophyllum var.oblongifolium)
アイノコアカザ C. × preissmannii
キノア C. quinoa(藜麥) アンデス高地では主要な穀物
シロザモドキ C. strictum(圓頭藜) 河北・山西・陝甘産
ホソバヒメハマアカザ C. subglabrum(C.leptopyllum var.subglabrum)
ホソバアカザ C. virgatum(C.stenophyllum, C.album var.stenophyllum,
C.album subsp.virgatum)
北海道・本州・四国・九州・朝鮮・遼寧・吉林・黑龍江産
ノハラアカザ C. × zahnii
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| ヒユ科 Amaranthaceae(莧 xiàn 科)については、ヒユ科を見よ。 |
| 訓 |
『言海』に「あかざ 藜〔若葉ノ赤キ故ノ名カ〕」と、『大言海』に「あかざ 藜〔赤麻(アカアサ)ノ約、麻ニ類シテ若葉赤ければ名とすと云フ説アリ、イカガアルベキ、尚考フベシ〕」と。
「和名あかざノあかハ赤色ノ意ニシテ其嫩葉ノ赤色ニ基ケルナランモざノ意味ハ解スベカラズ、或ハ赤麻(あかあさ)ノ約ナラントノ説アレドモ信ヲオキ難シ」(『牧野日本植物圖鑑』)。 |
『倭名類聚抄』藜に、「和名阿加佐」と。
小野蘭山『本草綱目啓蒙』藜に、「アカザ和名鈔 アカ梅花無尽藏 オホアカザ新校正 江戸アカザ南部」と。 |
| アイヌ名はチカパマム(鳥のアワ)。 |
| 属名は「ガチョウのあし」、葉の形から。英名 同。 |
| 説 |
「往時中國ヨリ渡来シ主トシテ圃中ニ生ズル無毛ノ一年生草本ニシテ、往々一時圃ノ附近ニ於テ野生狀態ヲ呈スル事アルモ其生活年々連續セズ」(『牧野日本植物圖鑑』)。
「北海道~琉球で野菜として栽培され、ときに野生化する。現在ではほとんど見られなくなっている」(『改訂新版 日本の野生植物』)。
「第2次世界大戦中は救荒植物として活用されたが,最近ではホウレンソウなどの普及によりほとんど利用されない」(『大百科事典』)。
ただし、筆者(嶋田)は畑作されているものを見たことがない一方、路傍の雑草として少時より見飽きている。「種へずして多き物なり」(宮崎安貞『農業全書』)。 |
| 誌 |
嫩葉は食用にする。
茎が堅いので、太いものは乾燥させて杖(藜杖)として用いる。
中国では、C.album の全草を薬用にする。『全国中草葯匯編』下/225-226 |
「茹(ゆびきもの)とし、あへ物ひたし物によし。・・・肥土に生ひたるは大きにして、又軽きゆへ、老人の杖によきものなり。是下品の菜なるが、詩にも文にも作れり」(宮崎安貞『農業全書』1697)。
「草原・荒地などに叢生し、若葉を摘んで食用にすると、春夏にわたって長期に用いられる。ゆでて浸し物か和物によく、汁の実にしても調法である」(本山荻舟『飲食事典』)。 |
やどりせむあかざの杖になる日まで (芭蕉,1644-1694)
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