辨 |
Arthraxon hispidus には変化が多く、中国では次のような変種を区別する。
var. hookeri(毛軸藎草)
var. centrasiaticus(中亞藎草)
var. cryptatherus(匿芒藎草)
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コブナグサ属 Arthraxon(藎草 jìncăo 屬)には、アジア・アフリカに約15種がある。
コブナグサ A. hispidus(藎草)『中国雑草原色図鑑』291
A. lancifolius(小葉藎草・柔葉藎草)『中国雑草原色図鑑』290
A. multinervus(多脈藎草)
オニコブナグサ A. prionodes(矛葉藎草)
ダンゴクコブナグサ A. quartinianus
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イネ科 Poaceae(Gramineae;禾本 héběn 科)については、イネ科を見よ。 |
訓 |
「和名小鮒草ハ其葉形ニ基キテ云ヒ、かいなハ染ムルヲかく(掻)ト云フヲ以テかいなハ掻成草(かきなしぐさ)ノ意ナルベシト謂ヘリ是レ果シテ然ル乎。按ズルニうで卽チ腕ヲかいなト云フヲ以テかいなハ或ハ其膝曲セル稈ニ基キテ謂ヒシ名ニハ非ザル乎。又あしゐハ脚藺ニテ是レモ膝曲スル脚ニ基キシ名ニ非ザル乎」(『牧野日本植物圖鑑』)。 |
『本草和名』藎草に、「和名加伊奈、一名阿之為」と。
『倭名類聚抄』に、黄草は「加伊奈、本朝式云刈安草」と、藎草は「和名加木奈、一云阿之井」と。
小野蘭山『本草綱目啓蒙』12 藎草に、「カリヤス和名鈔。同名アリ カイナ同上 コブナグサ京師 サゝモドキ江州 カイナグサ播州筑前」と。 |
説 |
広くアジア・アフリカの温帯・熱帯に分布する。 |
誌 |
枝葉から黄色の染料を採る。 |
中国では、この黄色で官服を染めたので、よく人々を使ってこの草を集めさせた(例えば『詩経』小雅・采緑)。
また、その根・全草を薬用にする 『中国本草図録』Ⅸ/4392 『全國中草藥匯編 下』p.855 |
『爾雅』釋草に「菉(リョク・ロク,lù)、王芻(オウスウ,wángchú)」と、その郭璞注に「菉、蓐(ジョク,rù)也。今呼鴟脚莎(シキャクサ,chījiăosuō)」と。 |
日本でも、カリヤスとともに黄色染料として用いられた。
とくに八丈島では、ツバキの灰を媒染剤として黄八丈を染めるのに用いたので、八丈刈安の名がある。 |