蓼科山
地番 |
長野県 茅野市北山・北佐久郡立科町芦田八ケ野。 |
2023/10/23 白樺湖畔より |
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蓼科山は、長野県中央部、八ヶ岳連峰の北端に位置する火山、単独峰、標高2530m。将軍平(しょうぐんだいら)まではコニーデで針葉樹林に覆われ、それより上はトロイデ、岩場を為す。全体は円錐形をしていて、その優美な姿からかつて女神山(めのかみやま)と呼ばれ、諏訪富士とも称えられた。
登山道の旧五合目(標高約1820m)に御泉水(ごせんすい)と呼ぶ豊かな湧き水があり、最後の水場となっていたが、今はここまでロープウェーや自動車で行くことができ、周囲は「御泉水自然園」として遊歩道が整備されている。上記したように蓼科山は森の山であり、草原の山である隣の霧ケ峰とはまったく植生が異なる。針葉樹林帯の下にはシラカバ・カラマツを中心とする落葉樹林帯が続くが、この辺りはほとんどすべて別荘地として再開発されている。佐久への用水「塩沢堰」の水源であった「弁天神(べてえじん)」の泉は、かつてはこの落葉樹林の中の秘境であったが、周囲を観光用自動車道「ビーナス・ライン」に断ち切られて、今はどうなっているだろうか。
この『群芳譜』では、山裾を含めて、南平(なんだいら)から蓼科牧場・女神湖(旧赤沼)・第二牧場あたりまでを取材しているが、人による開発と鹿による食害を受けて、かつての自然の豊かさはだいぶ失われてしまった。
信濃には八十の高山ありと云へど女の~山の蓼科我れは
(1909 伊藤左千夫、『アララギ』2-2)
2018/05/16 五合目(御泉水)から望む |
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2011/08/14 八子ケ峰から望む |
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2016/11/03 初冠雪 |
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