えごのき 

学名  Styrax japonica 
日本名  エゴノキ
科名(日本名)  エゴノキ科
  日本語別名  チシャノキ・チサノキ、ヤマチサ・ヤマヂシャ(山萵苣)、ズサ・ヂサ、コヤスノキ、ロクロギ、チョウメン、サボン
漢名  野茉莉(ヤマツリ,yěmòlì)
科名(漢名)  安息香(アンソクコウ,ānxīxiāng)科
  漢語別名  
英名  Japanese snowbell
2007/04/08 薬用植物園
2006/05/20 野川公園
2007/05/12 小平市
2006/06/22 薬用植物園 2021/10/28 小平市 玉川上水緑地

   Styrax japonica は、形態的変異に富む多型種という。次のものの写真を附載した。

  ベニガクエゴノキ f. rubricalyx
  シダレエゴノキ f. pendulus
  
  
 エゴノキ科 Styracaceae(安息香 ānxīxiāng 科)には、約11属150-180種がある。

  エゴハンノキ属 Alniphyllum(赤楊葉屬)
 3種 
    A. eberhardtii(牛角樹・滇赤楊)
雲南・インドシナ産 
    A. fortunei(赤楊葉)
臺灣・華東・両湖・両広・西南産
    エゴハンノキ A. pterospermum(臺灣赤楊葉)
臺灣産 

  アメリカアサガラ属 Halesia(銀鐘花屬)

  Huodendron(山茉莉屬)
中国南部・インドシナに3-4種 
    H. biaristatum(雙齒山茉莉)
広西・雲貴・インドシナ産 
      ssp. parviflorum(小花山茉莉・嶺南山茉莉)
江西・湖南・両広産 

  Melliodendron(陀螺果屬)
 1種 
    カラスナシ M. xylocarpum(陀螺果・鴉頭梨・水冬・白花樹)
         
江西・湖南・両広・雲貴産

  Parastyrax(茉莉果屬)
 1-2種 
    P. lacei(茉莉果)
雲南・ミャンマー産 
    P. macrophylla(大葉茉莉果・大呵啡)
雲南産 

  アサガラ属 Pterostyrax(白辛樹屬)
日本乃至ビルマに3-4種
    アサガラ P. corymbosus(Halesia corymbosa;小葉白辛樹)
         
本州近畿以西・四国・九州・華東・湖南・広東産 
    オオバアサガラ P. hispidus(P.micranthus, Decavenia hisida,
         Halesia hispida)
本州・四国・九州産
    P. psilophylla(白辛樹)
両湖・広西・西南産 

  Rehderodendron(木瓜紅屬)
 中国・インドシナに4-10種 
    R. indochinense(越南木瓜紅)
雲南・ベトナム産 
    R. kwangtungensis(廣東木瓜紅)
湖南・両広・雲南産 
    R. kweichowense(貴州木瓜紅)
両広・雲貴産 
    R. macrocarpum(木瓜紅)
広西・四川・雲南産 

  Sinojackia(秤錘樹屬)
中国南部に4-7種 
    S. henryi(稜果秤錘樹)
両湖・広東・四川産 
    S. rehderiana(狹果秤錘樹)
江西・湖南・広東産 
    S. xylocarpa(秤錘樹)
江蘇産 南京・杭州・上海・武漢で栽培 

  エゴノキ属 Styrax(安息香屬) 
    
 エゴノキ属 Styrax(安息香 ānxīxiāng 屬)には、約130種がある。

  S. argentifolius(銀葉安息香・銀葉野茉莉) 広西・雲南産 『雲南の植物Ⅲ』221
  S. benzoides(滇南安息香)
雲南・インドシナ産 
  アンソクコウノキ S. benzoin(安息香,アンソクコウ,anxixiang)
         
バングラデシュ・マレーシア・ジャワ・スマトラ産
         樹脂の安息香 benzoin を採る 『中薬志Ⅲ』pp.556-559
  S. chinensis(中華安息香)
 広西・雲南・インドシナ産『中国本草図録』Ⅱ/757
  S. confusa(賽山梅・白花龍)
華東・両湖・両広・四川・貴州産 
  S. dasyantha(垂珠花・白客馬葉)
河南・山東・華東・両湖・広西・西南産 
  S. faberi
    var. faberi(白花龍)
臺灣・華東・両湖・両広・貴州・四川産 
    タカサゴエゴノキ var. formosanus(var. matsumurae, S.matsumurae;
         苗栗白花龍)
臺灣産 
  タイワンエゴノキ S. formosanus(臺灣安息香)
臺灣・華東・湖南・両広産 
  S. grandiflora(大花野茉莉)
 臺灣・両広・西南産 『雲南の植物Ⅱ』203 
         
漢土では南嶺以北にはS.japonicaが、以南にはS.grandifloraが分布
  S. hemsleyanus(老鴰鈴・墨泡)
河南・陝西・両湖・四川・貴州産 
  エゴノキ S. japonicus(野茉莉・木香柴・野白果樹・山白果)
    var. calycothrix(毛萼野茉莉)
    コウトウエゴノキ var. kotoensis(var. tomentosus, var.iromotensis)
  S. macranthus(大蕊野茉莉)
 広西・雲南産 『雲南の植物Ⅲ』221
  ハクウンボク S. obassia(玉鈴花・老開皮)
  S. odoratissimus(芬芳安息香・郁香野茉莉)
華東・両湖・両広・貴州産 
  セイヨウエゴノキ S. officinalis(南歐安息香)
 地中海地方産 
  S. paralleloneurum
スマトラ産、樹脂は安息香
  コハクウンボク S. shiraianus
本州栃木県以西・四国・九州・朝鮮南部産 
  ウラジロエゴノキ S. suberifolius(紅皮樹・椆樹・栓葉安息香・粘高樹・
         赤血仔・狐狸公)
中国長江以南各地・ベトナム産 
    コウシュンエゴノキ var. hayatanus(S.formosanus var.hayatanus;
         台北安息香・恒春野茉莉)
臺灣産 
  シャムアンソクコウノキ S. tonkiensis(
         越南野茉莉・越南安息香・暹羅安息香・滇安息香・白花樹)
         福建・江西・両広・西南・ ベトナム・ラオス・タイに分布。樹脂は安息香
         『中薬志Ⅲ』pp.556-559、『雲南の植物Ⅲ』221・『中国本草図録』Ⅹ/4790
    
 和名は、果実がえごい(えぐい)ことから。
 萵苣(ワキョ,wōju)は、チサ
 標準和名をチシャノキというものは、ムラサキ科のチシャノキ Ehretia ovalifolia。
 ただし、歌舞伎『先代萩』に出るチシャノキは、こちらのエゴノキであるという(牧野)。
 チサの語源については、チサを見よ。
 北海道・本州・四国・九州・琉球・臺灣・朝鮮・中国(秦嶺黄河以南・南嶺以北)・インドシナ・フィリピン産 
 果皮にエゴサポニンを含み、魚類に強い毒性を示す(人には無害)
 中国では、花・葉・果及び虫癭の中の白い粉を、薬用にする。
 同属の S.benzoin(安息香)・S.tonkiensis(越南野茉莉・越南安息香・暹羅安息香・滇安息香)の樹脂を、安息香(アンソクコウ,ānxīxiāng) Benzoin と呼び、薬用にする。『中薬志Ⅲ』pp.556-559
 benzoin は、アラビア語 lubanjawi(ジャワの香料・乳香)から。
 安息香は、安息国から来た香料の意。安息はパルティア Parthia、その初代の王アルサケスArsaces I の音写から。
 日本では、新鮮な果皮を洗濯に用い、絞り汁は川に流して魚をしびれさせて捕えた(いわゆる魚毒)という。
 材は緻密で粘り気が強く、各種の器具・玩具を作るのに用いる。むかし番傘の轆轤
(ろくろ,骨を集めて開閉する 中央の円筒形の部分)にも使われた。
 『万葉集』に、

   気
(いき)の緒に念へる吾を山ぢさの花にかきみ(君)が移ろひぬらむ (7/1360,読人知らず)
   山萵苣の白露しげみうらぶるる心も深く吾が恋止まず
(11/2469,読人知らず)

   ・・・ちさの花 さけるさかりに はしきよし そのつま
(妻)のこ(児)
   あさよひ
(朝夕)に え(笑)みみえ(笑)まずも うちなげき かた(語)りけまくは・・・
      
(18/4106,大伴家持)
 
 また、「いちし」と記される植物は、諸説があるが、一にエゴノキ、またクサイチゴ、ギシギシなどとする。
ベニガクエゴノキ  f. rubricalyx   2007/05/22 小石川植物園 
シダレエゴノキ f.pendulus
   
2005/05/22 薬用植物園
 

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