| 辨 | ニシキギ属 Euonymus(衞矛 wèimáo 屬)については、ニシキギ属を見よ。 | 
          
            | 訓 | 「和名眞弓ハ往時此材ヲ以テ弓ヲ製セシヲ以テナリ」(『牧野日本植物図鑑』)。 
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            | 日本では、漢字に檀を充てるが、誤解。 漢語の檀(ダン,tán)・檀香は、ビャクダン科の香木ビャクダン(白檀)。
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            | 『倭名類聚抄』檀に「和名万由三」と。 | 
          
            | 漢名の西南衞矛は、E. hamiltonianus f. hamiltonianus に対するもの。 | 
          
            | 説 | 北海道・本州・四国・九州・朝鮮・遼寧・吉林・黑龍江・樺太に分布。 | 
          
            | 誌 | 『万葉集』に、 
 南淵の 細川山に 立つ檀(まゆみ) 弓束(ゆづか)纏(ま)くまで 人に知られじ
 (7/1330,読人知らず)
 ・・・ 白檀弓 靫(ゆき)取り負ひて ・・・(9/1809,高橋虫麻呂)
 天の原 往きてを射むと 白檀 ひきて隠せる 月人壮士 (10/2051,読人知らず)
 水薦(みこも)刈る 信濃の真弓 吾が引かば うま人さびて いなと言はむかも
 水薦刈る 信濃の真弓 引かずして 弦(を)はくる行事(わざ)を 知るとは言はなくに
 (久米禅師及び石川郎女,『万葉集』2/96;97)
 
 なお、巻2の二首の「水薦刈る」は、また「みすずかる」と訓み、信濃にかかる枕詞。マコモを見よ。
 
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            | 「しらまゆみ(白真弓・白檀・白檀弓)」は、はる・ひく・いる・ひ・いなどにかかる枕詞。 
 白真弓 今春山に 去(ゆ)く雲の 逝きや別れむ 恋しき物を
 (万葉10/1923,読人知らず)
 白檀 石邊の山の 常石(ときは)なる 命なれやも 恋ひつつ居らむ
 (万葉11/2444,読人知らず)
 白檀 ひだの細江の 菅鳥の 妹に恋ふれか 寐(い)を宿(ね)かねつる
 (万葉12/3092,読人知らず)
 
 てもふれで 月日へにける 白まゆみ おきふしよるは いこそねられね
 (紀貫之、『古今和歌集』)
 
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            | かつて、陸奥国安達郡に産するマユミで作った弓が有名であった。 
 陸奥(みちのく)の あだたら真弓 弦(つら)着(は)けて 引かばか人の 吾をこと成さむ
 (万葉7/1329,読人知らず)
 みちのくの あだたらまゆみ はじきおきて そらしめきなば つらはかめかも
 (万葉14/3437,読人知らず)
 みちのくの あだちのまゆみ わがひかば すゑさへよりこ しのびしのびに
 (『古今和歌集』神あそびのうた)
 
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