辨 |
Sasa borelis には、次のような種内分類群を区別することがある。
クマスズ var. amabilis(Sasamorpha amabilis)
フイリスズ var. albo-striata
クマスズ var. amabilis
ホソバスズタケ var. angustior
ハチジョウスズタケ var. viridescens
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ササ属 Sasa(赤竹 chìzhú 屬)については、ササ属を見よ。 |
訓 |
『言海』に、「すず(篠) 竹ノ一種小キモノ。シノ、ササ」と。
牧野は、「和名すず竹ハすずニ竹ヲ加ヘシモノ、此すずハ元來しの卽チ篠ト同義ニテすすきト同樣叢生スル意ナリト謂ヘリ、而シテ古來薦ノ字ヲ借リ用ヰタリ、みすずノみハ發聲語ニ外ナラズト謂ヘリ」(『牧野日本植物圖鑑』)。 |
説 |
北海道・本州(太平洋側)・四国・九州・朝鮮に分布。 |
誌 |
「信濃」に懸る枕詞「みすずかる(御篶刈る・水篶刈る)」は、万葉集の「みこもかる(水薦苅・三薦苅)」の誤読から起った言葉。みこもは、水辺に生えるマコモであり、元来はスズタケではない。
「水薦刈」三字を、羽倉信名『万葉集童蒙抄』は「みすずかる」と訓んだ。また賀茂真淵は、「水薦刈」は「水篶刈(みすずかる)」の誤字であるとした。 |
それでは、このミスズとは何を指すかについて、有力な説は三つ。
スズタケ Sasamorpha borealis
ネマガリタケ(チシマザサ) Sasa kurilensis
チマキザサ Sasa palmata
東北ではネマガリダケをスズタケと呼び、信州ではチマキザサをスズタケと呼ぶという。 |
後には、「みすずかる」は信濃にかかる枕詞として定着し、今日に至る。
みすずかる信濃か日本アルプスか 空のあなたに雪の光れる
(北原白秋『桐の花』1913) |
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笊・籠・行李、また釣竿の素材として用いる。
タケノコは美味、中国地方ではスズノコと呼ぶ。「普通一尺余りに刈り取られて、根元の方はやや硬いが約三分の一切り捨てると中身は象牙細工のように白く、食用として特殊の風味がある」、また「羽越地方で「銀山竹」または「月山竹」と称する小筍を、熊笹の芽と混同する向もあるが、これは篶(スズ)である」(本山荻舟『飲食事典』)。 |