ごま (胡麻) 

学名  Sesamum indicum (S.orientale)
日本名  ゴマ
科名(日本名)  ゴマ科
  日本語別名  
漢名  胡麻(コマ,húmá)、芝麻(シマ,zhīmá)
科名(漢名)  芝麻(シマ,zhīmá)科
  漢語別名  脂麻(シマ,zhīmá)、油麻(ユマ,yóumá)
英名  Sesame
2005/08/12 清瀬市下宿

2006/09/07 長瀞町

2005/08/23 三好町竹間沢

 ゴマには、蒴果の形(4稜・6稜・8稜など)・種子の色(黒・白・黄・褐など)など、さまざまな品種がある。
 ゴマ科 Pedaliaceae(芝麻 zhīmá 科)には、旧世界の熱帯・亜熱帯に約11-14属 約50-74種がある。

  ゴマ属 Sesamum(芝麻 zhīmá 屬)
主としてアフリカに約19-30種

    ゴマ S. indicum(S.orientsle;芝麻)
    S. triobum(Ceratotheca triloba)
   
 漢名に麻(マ,má)と言うものは、もともとはタイマ(大麻)
 後にタイマのように繊維を取る植物、例えばアマ
(亜麻)チョマ(苧麻)コウマ(黄麻)ケイマ(莔麻)・ケナフ(洋麻)なども麻と呼んだ。
 胡麻(コマ,húmá)の語は、漢代から現れ、もとゴマ(胡麻・芝麻)および油用のアマ(亜麻)を指した。今日でも甘粛地方では、油用のアマを胡麻と呼ぶ。

 あたまに胡とつくのは、
  ① 西方の大宛
(フェルガナ)よりもたらされたことから(陶弘景)、
  ② 胡は大の意で、アサに比べて葉が大きいことから(孫星衍)、
  ③ 胡は戟の意
(『広雅』釈器)で、その株の形から、
などとする説がある。
 芝麻(シマ,zhīmá)の名は、後趙の石勒が胡の字を諱んで、胡麻を芝麻に改めたものと言う。今日の中国では、胡麻よりも芝麻の名の方が 一般的に通用する。
 和名は漢名の音。
 源順『倭名類聚抄』(ca.934)胡麻に、「音五万、訛云宇古末」と。
 小野蘭山『本草綱目啓蒙』18(1806)胡麻に、「ウゴマ和名鈔 ゴマ」と。
 アフリカのサバンナ地帯原産、インドで分化し、アジア・アフリカの熱帯・乾燥地域で広く栽培され、多数の品種がある。
 中国には、紀元前1世紀ころ張騫によって西方からもたらされたと伝えられる。日本には早くから入り、天平時代には栽培していた。
 種子は、約50%の油、約20%の蛋白質を含む。
 和名を胡麻子、漢名を芝麻といい、薬用・食用に供するほか、絞って胡麻油
(ごまあぶら。英名は Sesami oil、漢名は芝麻油 zhimayou・香油 xiangyou・麻油 mayou。ただし漢名を胡麻油 humayou・胡麻子油 humaziyou というものはアマニ油)を採る。
 近年の中国では、銭山漾(センザンヨウ。浙江省呉興)新石器時代遺跡などからゴマの種が出土しているので、五千年以上昔からゴマが栽培されていた、とする。
 先秦の文献には、五穀・九穀の一として、主要な穀物に麻が挙げられている。この麻について、古来議論があり、一説にタイマの実(漢名は麻子 mazi)とし、一説にゴマの実(漢名は芝麻)とする。今日でも両説並立し、決しない。
 中国では、茎を麻秸と呼び、葉を胡麻葉(靑蘘)と呼び、花を胡麻花と呼び、白い種子を白脂麻と呼び、黒い種子を黒脂麻と呼び、実の殻を芝麻殻と呼び、それぞれ薬用にする。『中薬志Ⅱ』pp.418-420
 日本では、生薬ゴマは ゴマの種子であり、ゴマ油は ゴマの種子から得た脂肪油である(第十八改正日本薬局方)。そのほか、ゴマ油を食用・整髪用などに供する。
 今日の中国では、胡麻子として用いる中薬はアマの種子(亞麻子)であるという。
 亞麻が文献に記されるのは宋の『図経本草』以後であり、明代以前の胡麻はゴマであったろう、という。
『中薬志Ⅱ』pp.291-296 
 賈思勰『斉民要術』(530-550)巻2に、胡麻の章がある。
 六朝から唐には、飯にして食い、「一年にして色美しく身体は滑らかに、二年にして白髪は黒く、三年にして歯が抜け替り、四年にして水に入るも濡れず、五年にして火に入るも焦げず、六年にして走れば奔馬に及ぶ」とされ(『抱朴子』)、僧侶・道士の間でよく利用された。
 日本では、10世紀初から記録がある。
 唐辛子・胡麻・山椒・芥子の実・麻の実・菜種・陳皮をあわせた香辛料を、七味唐辛子という。
 「胡麻菓子(ごまかし)」とは、文化文政時代に江戸で行われた胡麻胴乱(ごまどうらん)という菓子の別名。小麦粉に胡麻を混ぜて、焼いて膨らしたもの。
 一説に、このことから、見掛けは立派でも中身がないことを「胡麻菓子」と呼ぶようになった、という。
 『千夜一夜物語』に「開けゴマ」のまじない句があるように、西アジアでは広く普及している。
 インドには、アーリア民族とともにインダス流域にもたらされたという。

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