辨 |
インゲンマメ属 Phaseolus(菜豆 càidòu 屬)には、アメリカ熱帯・亜熱帯に約50-90種がある。
ベニバナインゲン(ハナササゲ・ハナマメ) P. coccineus(P.multiflorus;荷包豆・多花菜豆・
紅花菜豆・龍爪豆;E.Scarlet runner bean)
シロバナササゲ f. albus
アオイマメ(ライマメ) P. lunatus(P.limensis;棉豆・金甲豆・菜豆・香豆・雪豆;
E.Lima bean, Butter bean, Sieva bean)
南アメリカ原産。野生種は中央アメリカ乃至アルゼンチンに分布。
インゲンマメ P. vulgaris(菜豆・芸扁豆・四季豆・豆角)『中国本草図録』Ⅱ0634
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東アジアで栽培されている食用のマメについては、まめを見よ。 |
マメ科 Leguminosae(Fabaceae;豆 dòu 科・荳科)については、マメ科を見よ。 |
訓 |
東京でインゲンマメと呼ぶものはこれであり、京都でインゲンマメと呼ぶものはフジマメである(『言海』)。
和名インゲンマメは、黄檗宗の禅僧 隠元隆琦(1592-1673)がもたらしたと考えられたことから。
ただし、隠元がもたらした豆は じつはフジマメであるらしい。 |
『大和本草』4 豇豆(サゝケ)の条に、「隱元豆、豇豆(ササゲ)ノ類ナリ、漢名未レ詳、近年異國ヨリ來ル、又梶原サゝゲト云、皆鄙俗ノ名ツクル處ナリ」とあるものは、インゲンマメでは無いか。
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嫩果は、関東ではサヤインゲン(莢隠元)、関西ではササゲ・ササゲマメと呼ぶ。 |
『言海』に、「うづらまめ(鶉豆) 或黑ク、或ハ赤褐ニシテ白キ斑(フ)アルモノ。チリメンマメ」と。 |
説 |
中央アメリカ(南メキシコ・グワテマラ・ホンジュラス)の原産。
メキシコ南部のB.C.5000-B.C.3500の遺跡から莢が出土、またペルーのB.C.2500-B.C.2000の遺跡から種子が出土。
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16世紀にスペインに伝えられ、17世紀にヨーロッパに広まった。 |
日本には承応(1652-1655)年間に中国経由で伝来。今日の主産地は北海道。 |
誌 |
若い莢(サヤインゲン)・未熟の種子・完熟した種子を、食用にする。 |
「サヤインゲンはサヤの両端と筋をとり、細切にして塩水につけ、沸騰した塩湯で鍋に蓋をせずにゆでると青々と色よくあがる。水気を切ってバターでいため、塩・胡椒を加えて洋風料理のつけあわせにする場合が多く、淡味に煮てもよく、味噌和え・胡麻和え、また汁の実にも適する。
青漬は、・・・
熟して乾燥した豆は水に軟らげて含め煮にし、またキントンにつくる」(本山荻舟『飲食事典』)。 |