こんにゃく (蒟蒻) 

学名  Amorphophallus konjac (A. rivieri var. konjac)
日本名  コンニャク
科名(日本名)  サトイモ科
  日本語別名  
漢名  魔芋(マウ,móyù)
科名(漢名)  天南星(テンナンセイ,tiānnánxīng)科
  漢語別名  花桿蓮(カカンレン,huāgănlián)、花桿南星、蒟蒻(クジャク,jŭruò)、
蒻芋(ジャクウ,ruòyù)、蒟頭(クトウ,jŭtóu)、花笠把、蛇頭草
英名  Elephant foot
2013/05/04 薬用植物園 
2008/07/01 小石川植物園
2004/08/04 東大農園 2006/09/07 埼玉県長瀞町
2023/10/07 小石川植物園 

 コンニャク属 Amorphophallus(魔芋 móyù 屬)には、主に旧世界の熱帯に約80種がある。

  A. bulbifer(珠芽魔芋)
  A. dunnii(A.mellii;南蛇棒・蛇槍頭・大頭芋)
湖南・兩廣・雲南産
  ヘンリーイモ A. henryi(臺灣魔芋)
臺灣産
  ケコンニャク A. hirtus(A.niimurae;硬毛魔芋)
臺灣産 
  ヤマコンニャク A. kiusianus(A. hirtus var.kiusianus, A.sinensis;
         東亞魔芋・疏毛魔芋・蛇頭草・華東蒟蒻) 
         
絶滅危惧Ⅱ類(VU,環境省RedList2020) 四国・九州・臺灣・江蘇・浙江・福建産
  コンニャク A. konjac(A.rivieri, A.rivieri var.konjac, A.mairei;
         魔芋・磨芋・花杆蓮・花麻蛇)
  イシウスイモ
(ゾウコンニャク・インドオオコンニャク) A. paeoniifolius(A.gigantiflorus,
         A.campanulatus, A.virosus;疣柄魔芋・臭魔芋;E.Elephant ear yam)
         
『週刊朝日百科 植物の世界』11-78 『中国本草図録』Ⅰ/0403
  A. prainii
インドシナ・スマトラ産 『週刊朝日百科 植物の世界』11-79
  ショクダイオオコンニャク A. titanum(巨魔芋)
『週刊朝日百科 植物の世界』11-77
  A. variabilis(野魔芋)
 江西・福建・廣東・フィリピン・ジャワ産
  A. yunnanensis(A.kerrii滇魔芋・長柱魔芋) 廣西・貴州・雲南・インドシナ産 
   
 サトイモ科 Araceae(天南星 tiānnánxīng 科)については、サトイモ科を見よ。
 「こんにゃく(菎蒻) 〔蒟蒻(グニャク)ノ音ノ轉カ〕 古名コニヤク。草ノ名、・・・根塊ヲこんにゃく玉(ダマ)トイフ、・・・」(『言海』)。
 「和名ハ蒟蒻ノ字音轉化なり」(『牧野日本植物圖鑑』)。
 「地下の塊茎がコンニャク薯(イモ)で、俗にコンニャク玉とよばれ、乾燥して粉末にしたのをコンニャク粉という」(本山荻舟『飲食事典』)。
 『倭名類聚抄』蒟蒻に、「和名古迩夜久」と。
 『大和本草』に、「菎蒻{コンニヤク}」と。
 小野蘭山『本草綱目啓蒙』13 蒟蒻に、「コンニヤクダマ コンニヤクイモ」と。
 インドシナ(或は中国南部)原産。日本には平安時代初期までに渡来。
 イモはマンノースとマンナンを豊富に含む。コンニャクがゲル状なのは、マンナンによる。
 日本・中国の一部・ミャンマーでは、地下の塊茎を食用にする。
 中国では、塊茎を薬用にする。 『全国中草葯匯編』上/940-941
 コンニャク玉からコンニャクを作るには、「秋ノ末、根塊ヲ煮テ、搗キマゼ、水ヲ加ヘ、蹈ミテ、糊トナリタルニ、石灰汁(イシバイアク)ヲ交ヘ、模(カタ)ニ入レ、石灰汁ヲ加ヘタル水ニテ、煮テ食フ、是レ舊法ナリ、新法ハ、根塊ヲ削リテ乾シ、搗キテ粉トス、コレヲこんにやく粉(コ)トイヒ、糊トシテ傘紙ナド繼グニ強シ、此粉ニ水ヲ加ヘ、蹈ミテ糊トシ、餘ハ舊法ノ如クシテ食用トス」(『言海』)。 
 これを寒夜にさらして凍結乾燥したものを氷コンニャクといい、久しく貯蔵に耐え、主に精進料理に用いられる。
 コンニャク(蒟蒻)は、通常方形又は長方形に整えられるが、繊切した糸コンニャク、細い穴から突出したシラタキ(白瀧)、団子状にした玉コンニャクなどがある。
 「コンニャク類の栽培植物には熱帯性のインドコンニャク(Amorphophallus campanulata)と温帯まで栽培できるコンニャク(A. konjac)がある。インドコンニャクはイモの直径が数十センチもの巨大なものになるが、インドが主な産地で、マレー以東ではだんだん見捨てられ、レリクト・クロップとして西部ポリネシアの島々に出現する。インドコンニャクは成分の関係上、日本のコンニャクの代用にならないといわれている。東アジアの温帯で栽培されるコンニャクはインドシナ半島の原産といわれ、シナ、日本で石灰でかためたコンニャクに加工される。そのほかマレーシア諸島に野生のまま採集、食用されるコンニャク類が若干見出される。コンニャク類はいずれも全部毒イモであるので、加工に何か工夫がないと食用にできない。しかしその加工はいずれも、日本のコンニャクの場合を含めて、直接的な水晒し法でない点は注目すべき点である。」(中尾佐助『栽培植物と農耕の起源』)
   
   ★野をみれば春めきにけり靑つづら こにやくままし若菜つむべく
    

   蒟蒻にけふは売
(うり)かつ若菜哉 (芭蕉,1644-1694)
   菎蒻(こんにゃく)のさしみもすこし梅の花 
(同)
   
 
   旅を来てかすかに心の澄むものは一樹のかげの蒟蒻ぐさのたま
   こんにやくの茎の青斑
(あをふ)の太茎をすぽりと抜きて声もたてなく
     
(1914「三崎行」,斉藤茂吉『あらたま』)
 
 「蒟蒻は体の砂払い」とは、コンニャクを食べると腹や睾丸にたまった砂を払うという俗信。12月8日または2月8日の針供養にコンニャクを食う(平野雅章『食物ことわざ事典』1978)


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