びんろう (檳榔) 

学名  Areca catechu
日本名  ビンロウ
科名(日本名)  ヤシ科
  日本語別名  ビンロウジュ、アレカヤシ 
漢名  檳榔(ビンロウ, bīngláng)
科名(漢名)  棕櫚(ソウリョ,zōnglǘ,しゅろ)科
  漢語別名  仁頻(ジンヒン,rénpín)、榔玉、賓門、青仔、國馬、檳楠、尖檳、鷄心檳榔
英名  Betelnut palm, Areca(nut) palm
2009/07/11 京都府立植物園 (温室)

 ビンロウジュ属 Areca(檳榔 bīngláng 屬)には、インド・東南アジアに約50-60種がある。
 
  ビンロウ A. catechu(檳榔)
  カブダチビンロウ A. triandra(三葯檳榔)
        
熱帯・亜熱帯アジア産、臺灣・廣東・雲南では栽培。
   
 ヤシ科 Arecaceae(Palmae;棕櫚 zōnglǘ 科)については、ヤシ科を見よ。 
 漢名檳榔(ビンロウ, bīngláng)は、マレーシア名 pinnang の音写。仁頻(ジンヒン,rénpín)は、ジャワ名 jambi の音写。
 和名ビンロウは、漢名 檳榔(ビンロウ,bīngláng)の音。
 但し、日本では、かつて Livistona chinensis(蒲葵,ホキ,púkuí,今日の和名でビロウ、別名アジマサ)が檳榔であると考えたことがあり、その今日の和名にビロウという音を残している [その結果、ビンロウとビロウと二種類の植物がある] ので、ややこしい(オガサワラビロウの訓を参照)。
 『本草和名』檳榔に「和名阿知末佐」とあり、『延喜式』檳榔に「アチマサ」とあるのは、ビンロウではなく、ビロウの方。
 種小名 catechu は、インド現地語からという。
 原産地不明(フィリピン・セレベス・モルッカ原産かという)、広く熱帯アジア・アフリカ東海岸などで栽培。
 漢土では、福建・臺灣・兩廣・海南島・雲南南部で栽培する。
『中国本草図録』Ⅰ/0400
 日本では、東大寺献薬帳
(奈良時代)にその名が載る。
 その果実は長6-8cmの卵形、オレンジ色に熟す。アレコリン arecolin などのアルカロイドを含み、種子(檳榔子,ビンロウシ,bīnglángzĭ,びんろうじ,betel nut,areca nut)・果皮(大腹皮,タイフクヒ,dàfùpí)を薬用にする。
 また、花・蕾を檳榔花と呼び、未成熟の果実を干したものを榔干と呼び、それぞれ薬用にする。
『中薬志Ⅱ』pp.391-393 『(修訂) 中葯志』III/661-665 『全国中草葯匯編』上/898-899 

 日本では、生薬ビンロウジは ビンロウの種子である(第十八改正日本薬局方)。
 ビンロウの未熟の果実の胚乳を2-4に割り、石灰をまぶして、キンマの葉で包み、これを口の中で噛む習慣を、キンマ噛み betel chewing と呼ぶ。好みにより、タバコタマリンドカルダモンウイキョウなどを調味することがある。
 初めは味は苦く渋く、ビンロウの実の成分が石灰と反応して 口中は真紅に染まるが、これをいったん吐き出してなお噛み続けると、アレコリンやキンマの精油成分の作用により 気分が爽快になるという。ただし、唇と歯茎はまっかになって腫れ、歯は歯石によって黒く染まる。
 キンマ噛みの習慣は、紀元前よりインド・東南アジア・オセアニアの各地で行われてきた。
 『本草図経』に、檳榔には三四種があり、小さくて甘いものは山檳榔、大きくて渋く 種が大きいものは豬檳榔、最も小さいものは子(ノウシ,nàzi)である、という。
 山檳榔はヤマビンロウ Pinanga baviensis(山檳榔 サンビンロウ shānbīngláng)。蒳子は一名 檳榔孫、おそらくゴウシュウヤシ Archontophoenix alexandrae(假檳榔 カビンロウ jiăbīngláng)であろうという。

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