きささげ (木ささげ)

学名  Catalpa ovata
日本名  キササゲ
科名(日本名)  ノウゼンカズラ科
  日本語別名  カワラギリ、カミナリササゲ、ライデンボク、アズサ、ヒサキ(久木)、ハブテコブラ
漢名  梓(シ,zĭ)、梓樹(シジュ,zĭshù)
科名(漢名)  紫葳(シイ,zĭwēi)科
  漢語別名  臭梧桐、豇豆樹・木角豆、水桐、木王、花楸・河楸、雷電木
英名  Chinese catalpa
2009/04/30 薬用植物園
2006/05/06 薬用植物園 2007/05/26 同左
2007/06/07 同上
2007/06/20 同上

2016/08/03 安曇野市穂高 (栽培)

2007/08/13 薬用植物園
2007/10/08 同上
2007/12/25 同上
2008/09/11 羽村市多摩川原

 キササゲ属 Catalpa(梓 zĭ 屬)には、東アジア・北米に13種がある。

  アメリカキササゲ C. bignonioides
  トウキササゲ C. bungei (楸樹)
  C. fargesii (灰楸中国原産
    var. duclouxii(滇楸・光灰楸)
 両湖・西南産 『雲南の植物Ⅱ』236
  キササゲ C. ovata (C.kaempferi;梓樹
『中国本草図録』Ⅰ/0331
  オオアメリカキササゲ
(ハナキササゲ) C. speciosa (黃金樹)
   
 ノウゼンカズラ科 Bignoniaceae(紫葳 zĭwēi 科)については、ノウゼンカズラ科を見よ。
 日本では、古く梓の字を あづさ(あずさ)と訓じた。しかし、梓弓(あづさゆみ)を作った梓(あづさ)の木は、このキササゲではない。
 また、楸の字は ひさぎ
(ひさき)と訓じ、キササゲまたはアカメガシワを指した。
 梓・楸の音訓については、あづさを見よ。
 和名別名のハブテコブラについては、オオベニタデを見よ。
 源順『倭名類聚抄』(ca.934)楸に「春秋漢語抄云、比佐木」と。
 小野蘭山『本草綱目啓蒙』
(1806)31楸に、「ヒサギ和名鈔 キモミヂ古歌 キサゝギ 雷電ギリ ハブテコブラ カブテコブラ カミナリサゝゲ越後 カハラサゝゲ濃州 カハラギリ常州 カハラヒサギ筑前 カハラクサギナ石州 カハラカシハ勢州 センダンギリ南部 ゴシンカウ肥前 ダラスケノキ讃州 将軍ボク筑後」と。
 中国長江流域以北原産、但しもう野生はない。
 日本では、観賞用・薬用として 暖地で栽培する。
 中国では、養蚕に必須の桑とともに、『詩経』時代から家の周囲・官寺・園亭などに必ず植えられていた樹木で、桑梓や梓里の語はふるさとを意味した。梓は木質がよく、軽く柔らかで腐りにくいので、建築やさまざまな器具の用材としたからであり、梓は木王とも称えられている。
 とくに楽器を作るのに適し、琴瑟には底に梓を、身にを使うというので、桐天梓地の成語がある。
 また、書籍を印刷するにあたり版木として優れているので、梓は版木を意味することになり、さらには製版印刷そのものを指すに至った。日本語でも上梓・附梓などの熟語が今日まで用いられる。
 中国では、材(梓木)・樹白皮及び根白皮(梓白皮)・葉(梓葉)・果実(梓實)を、薬用にする。
 日本では、生薬キササゲは キササゲ又はトウキササゲの果実である(第十八改正日本薬局方)。
 『詩経』国風・鄘風(ようふう)定之方中に、「定の方(まさ)に中(ちゆう)するとき、楚宮を作る。之を揆(はか)るに日を以てし、楚室を作る。之に榛(しん)(りつ)と、椅(い)(とう)(し)(しつ)を樹(う)え、爰(ここ)に伐(き)りて琴瑟(きんしつ)とす」と。
 賈思勰『斉民要術』(530-550)巻5に「種槐・柳・楸・梓・梧・柞」が載る。
 日本で古来歌に詠われてきたひさぎ(久木・楸)は、一説にアカメガシワ、一説にキササゲ。アカメガシワを見よ。
 『万葉集』に見える久木がもしキササゲであれば、その日本への渡来は奈良時代以前ということになる。
 確実なところでは、『大和本草』(1709)に「梓 アツサ 一名カラハヒサキ」として載るものがキササゲだという。

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