バナナ (食用作物としてのバナナ) 

学名   
日本名  バナナ
科名(日本名)  バショウ科
  日本語別名  ミバショウ(実芭蕉)
漢名  香蕉(コウショウ,xiāngjiāo)
科名(漢名)  芭蕉(バショウ,bājiāo)科
  漢語別名  甘蕉(カンショウ,gānjiāo)  
英名  Banana

 バナナという植物の成立過程や分類については、専門書に譲る。下の「説」に ほんの一部を引いた。
 バショウ属 Musa(芭蕉 bājiāo 屬)については、バショウ属を見よ。
 漢名・属名・英名について、バショウを見よ。
 バナナは、数千年前に成立した、最も古い栽培植物の一。
 かつ、今日の世界で最も生産量の多い果物。  
 (生食用・調理用を問わず)食用になるバナナは、次の内のいずれかである。
   野生種マレーヤマバショウ M.acuminata(AA)の改良品種 M.acuminata(AA,AAA,AAAA)
   野生種マレーヤマバショウ M.acuminata(AA)と、野生種リュウキュウバショウ
      M.balbisiana(BB)の雑種 M. paradisiaca(AB,AAB,ABB,ABBB) 
 野性種マレーヤマバショウ M. acuminata(AA,小果野蕉 xiăoguŏyějiāo・阿加蕉)は、マレシア西部~インド東部に分布。実は大きく美味、香も良い。ただしアズキ大の固い種子が詰っている。
 かつてその中から単為結実による種なしのものが現れて作物化され、今日の生食用のバナナの元となった。今日でもニューギニア現地人は改良されたAAを栽培している。それに対し、かつての主品種 Gros Michel や、今日の主品種 Cavendish、或は日本でいう台湾バナナなど、主流はAAAである。なお、ハワイには更なる4倍体AAAAがある。
 野生種リュウキュウバショウ M.balbisiana(BB,野蕉 yějiāo・倫阿蕉)は、兩廣・雲南・ヒマラヤ・シッキム・インドシナ・フィリピン・ニューギニアに野生。実は食用にならない。(なお、リュウキュウイトバショウはその変種の一。)
 栽培段階にまで改良された M.acuminata(AA)と出あって様々な雑種が出現し、今日でも世界の熱帯で多く栽培されている。植物学上、M.acuminata と M.balbisiana の雑種を、すべて Musa ×paradisiaca(M.×sapientum, M.×corniculata)と呼ぶ。(なお、植物学上標準和名をバナナというものは これを指すようだ。)
 英語では、食用に供する Musa のうち、生食するものをバナナ bananaと呼び、加熱調理用のものをプランテイン(「料理バナナ」) plantain と呼び分ける。今日のプランテインは多くはAABだが、AAA、ABBもある。
 かつてリンネは、料理用バナナの学名を Musa paradisiaca、生食用バナナを M. sapientum と名づけたが、今日では M.×sapientum は M.×paradisiaca のシノニムとして扱われている。 
 1979年の統計では、世界のバナナの生産量は約3,900万トン、リョウリバナナの生産量は約2,000万トン。
 バナナは、日本では、沖縄・小笠原などで栽培(「島バナナ」)。
 実を食用とするほか、繊維を取って芭蕉布を織り、葉を包装に用い、雄花・若芽を蔬菜とし、根茎を家畜の飼料とする。
 「バナナは全世界的に見ると、果物の中でいちばん重要なものだ。その生産量はあらゆる果物の中でいちばん多い。リンゴやブドウ、柑橘類よりバナナのほうが多いらしい。多いらしいというのは、東南アジア、アフリカ、中米などで原住民の自家消費が圧倒的な量を占めるからだ。統計なんてそこにはない。簡単な推算をしてみた結果こうなるわけだ。けれどもバナナは果物といっては都合が悪いかもしれない。バナナの中には煮たり焼いたりして食べる、イモのように使用される種類がそうとうある。バナナはおそろしく多様性に富んでいる。」(中尾佐助『栽培植物と農耕の起源』1966) 
 根裁農耕文化(栄養繁殖作物栽培農耕) Vegetative Planting Culture: バナナヤムイモタロイモサトウキビなどを組み合わせた農耕をする文化を、根裁農耕文化と呼ぶ。この言葉は、種子作物栽培農耕 Seed Planting Culture の対語である。
 東南アジアの熱帯降雨林の中で発生した根裁農耕文化(中尾の言う「ウビ農耕文化」)は、農業生産にたよった経済を初めて成立させた。ウビ農耕文化は、すすむにつれサゴヤシを利用するようになり、やがてハトムギを栽培化した。  (中尾佐助『栽培植物と農耕の起源』1966)

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