辨 |
メロン Cucumis melo の変種については、メロンを見よ。 |
中国では 越瓜 var. conomon と菜瓜 var. flexuosus は 古来混同されているけれども実は別物、とする説がある。 |
キュウリ属 Cucumis(黃瓜 huángguā 屬)については、 キュウリ属を見よ。 |
訓 |
和名は、漢名白瓜(ハクカ,báiguā)の訓。白というのは、黃瓜にくらべて果が白いことから。
『倭名類聚抄』白瓜に、「和名之路宇利」と。 |
歴史的漢名である越瓜(エツカ,yuèguā)は、越(漢土南部)に産したことから。 |
『倭名類聚抄』白瓜に、「和名之路宇利」と。
『本草和名』越瓜に、「和名都乃宇利」と。
『大和本草』に、越瓜{アサウリ}と。
小野蘭山『本草綱目啓蒙』24 越瓜に、「アサウリ」と。また、条下に菜瓜は「カタウリ若州加州ナリ、一名カキウリ豫州松山、筑前。同名アリ ナウリ和州讃州 ハナボ和州 ハナンボ ナウリソ倶ニ同上 ヤサイウリ若州加州 アヲサギ伊州勢州 マルヅケウリ同上 マルヅケ江戸 センシカ備前 センシクハ同上 ツケウリ阿州 ツケモノウリ防州」と。 |
旧変種名 conomon は、日本語の「香の物」から。 |
説 |
栽培メロン類から、インド・東南アジアで分化発達したもの。
京都附近に桂瓜(西京越瓜・京都越瓜)があって奈良漬用に尚ばれ、大阪附近には黒門越瓜、東京には大越瓜などがある。 |
誌 |
漢土では古くから栽培し、漬物にし、薬用にする。賈思勰『斉民要術』(530-550)に栽培法が載る。 |
日本には、漢土で分化したものが入った。果実を生食し、また漬物にする(奈良漬は酒粕に漬けたもの)。 |
うりもみ(瓜揉)は、「キウリ・シロウリの類を薄くきざんで塩もみし、ざっと洗って水気を去り、酢・酒・砂糖・塩または醤油で調味したもの。・・・青シソの葉をきざみくわえると香気がよく、小魚のナマス・桜エビ・焼ハモ皮などまぜるのが普通である」(『飲食事典』)。 |
かみなりぼし(雷干)は、「両端を切落して中核を抜去り内面に塩を振込んで一夜圧をかけ、中心に細竹を貫いて小口から斜めに一~二分厚さの螺旋状にぐるぐると長くつなぎ切り、夏日晴天に半日くらい竿にでも懸干すと甘味が加わって特殊の風味がある」(『飲食事典』)。 |
奈良漬は、シロウリの粕漬け。奈良に行われたものが有名で、この名を得た。具にはキウリ・スイカ・ハヤトウリ・ナスビ・ダイコン・レンコンや、タケノコ・マツタケ・ニンジンなども用いることがある。 |
「白瓜の皮――白瓜、これはあさうりとも、また越瓜ともいう。白瓜を賞味するのはこれから当分の間である。この白瓜を薄葛の汁椀なぞにつくる場合、大概はその皮を剥いて捨ててしまうものであるが、その捨ててしまう皮を食前一時間、糠味噌に漬けて、それで一番美味く漬けもの通になりすまそうというのである。
パリパリと舌ざわりよく、色青くして、夏の夕餉には、それこそもってこいである。酒やビールの肴にも申し分ない。この料理は、昔から京都人の日常生活に入っている漬けもの中の一名案なのである。京都のひとびとは、よく知っておられるはずである。」(北大路魯山人『魯山人味道』「夏日小味」1931) |
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